なごやかJavaで発表してきた

なごやかJava第一回で、「.NET系開発者から見たJava」というタイトルで発表してきました。 Javaのこの機能って.NET開発者から見てどうなの?というような内容です。

大阪から参加してくれた方の感想を載せておきます。

F# 4.0プレビュー版公開!

拡張機能が使えるVisual Studioが条件付きで無償化されたことによって、 快適な開発環境でF#を学べるようになることでしょう。

それはそれで楽しみなことは間違いないのですが、今回はF#自体の使い勝手の向上に目を向けたいと思います。

昨日はVS Communityが無償提供されたほか、様々な発表がありましたが、F#も4.0のプレビュー版が公開されました。

新機能一覧

プレビュー版までで実装されたものは以下の通りです。

  • 言語に関するもの
    1. コンストラクタが第一級関数として扱われるようになった
    2. これまでrefを使わざるを得なかった場所にmutableが使えるようになった
    3. 32次元配列まで扱えるようになった(今までは4次元配列までだった)
    4. (TypeProviderで提供される)メソッドで静的パラメータが使えるようになった
    5. listで(配列と同様の)スライシングができるようになった
    6. printf系関数に測定単位が付いた値をそのまま渡せるようになった
    7. コンパイラ(fsc)のGCの設定を変更した(10%の性能向上)
  • ライブラリに関するもの
    1. コレクションモジュール(List/Array/Seq)の正規化
    2. ジェネリックな比較の高速化
    3. asyncスタックトレースの改善
    4. その他パフォーマンスの改善
  • VSツールの改善
    1. プロジェクトテンプレートへのAssemblyInfo.fsの追加
    2. F# Interactiveの起動の高速化
    3. F# Interactiveのショートカットを追加(セッションのリセット、すべてクリア)

あっと驚く新機能はないものの、全体的に使い勝手を向上させることを目的にしているように思います。 このほかの実装予定の機能については、Status of F#4.0+ Approved Language/Library Itemsを参考にしてください。

今回は、F#4.0のプレビュー版までで実装されたもの中から、コレクションモジュールの正規化を取り上げたいと思います。

コレクションモジュールの正規化

F#はList/Array/Seqという3つのコレクションモジュールを持っていましたが、 「こっちのモジュールでは提供されているけどこっちのモジュールでは提供されていない」という関数が多くありました。

F#4.0では、この状況が大幅に改善されます。 どのように改善されるのか見ていきましょう。

Seqにしかなかった関数のList / Arrayへの追加

compareWith

第一引数として渡された関数をもとに、コレクションの大小を求める関数です。

(* val List.fで、Listモジュールのf関数と思ってください *)
val List.compareWith: ('a -> 'a -> int) -> 'a list -> 'a list -> int
val Array.compareWith: ('a -> 'a -> int) -> 'a [] -> 'a [] -> int

groupBy

要素を変換した結果と、その変換のもとになったコレクションのペアのコレクションにして返す関数です。

val List.groupBy: ('a -> 'b) -> 'a list -> ('b * 'a list) list when 'b : equality
val Array.groupBy: ('a -> 'b) -> 'a [] -> ('b * 'a []) [] when 'b : equality

countBy

要素を変換した結果と、その個数のペアのコレクションにして返す関数です。 変換結果でグループ化して個数も求めるような感じですね。

val List.countBy: ('a -> 'b) -> 'a list -> ('b * int) list when 'b : equality
val Array.countBy: ('a -> 'b) -> 'a [] -> ('b * int) [] when 'b : equality

distinct / distinctBy

distinctは要素の重複を取り除く関数で、 distinctByは重複の基準を関数として渡せるdistinctです。

val List.distinct: 'a list -> 'a list when 'a : equality
val List.distinctBy: ('a -> 'b) -> 'a list -> 'a list when 'b : equality
val Array.distinct: 'a[] -> 'a [] when 'a : equality
val Array.distinctBy: ('a -> 'b) -> 'a [] -> 'a [] when 'b : equality

exactlyOnce

コレクション中に要素が一つしかなかった場合に、それを取り出す関数です。 複数の要素があった場合は例外を投げます。

val List.exactlyOnce: 'a list -> 'a
val Array.exactlyOnce: 'a [] -> 'a

last

コレクションの最後の要素を返す関数です。

val List.last: 'a list -> 'a
val Array.last: 'a [] -> 'a

pairwise / windowed

windowedは、スライド式のウィンドウを生成する関数です。 pairwiseはこの特別なバージョンで、ウィンドウのサイズが2に固定化され、ウィンドウは配列ではなくタプルとしてあらわされます。

val List.pairwise: 'a list -> ('a * 'a) list
val List.windowed: int -> 'a list -> 'a [] list
val Array.pairwise: 'a[] -> ('a * 'a) []
val Array.windowed: int -> 'a[] -> 'a [] []

singleton

渡された要素のみを含むコレクションを生成する関数です。

val List.singleton: 'a -> 'a list
val Array.singleton: 'a -> 'a []

skip / skipWhile / take / takeWhile / truncate

なぜなかった感のある関数群ですね。説明は不要でしょう。

unfold

種となる値からコレクションを生成する関数です。 これも、なぜなかったのか・・・

where

filterの別名です。これ、むしろいらんやろ・・・

Listにしかなかった関数のArray / Seqへの追加

tail

先頭要素を除くコレクションを返す関数です。

map3

3つのリストに対するmap関数です。

val Array.map3: ('a -> 'b -> 'c -> 'd) -> 'a [] -> 'b [] -> 'c [] -> 'd []
val Seq.map3: ('a -> 'b -> 'c -> 'd) -> 'a seq -> 'b seq -> 'c seq -> 'd seq

replicate

指定した個数の指定した要素を含むコレクションを返す関数です。

val Array.replicate: int -> 'a -> 'a []
val Seq.replicate: int -> 'a -> 'a seq

ListArrayにあった関数のSeqへの追加

fold2 / foldBack / foldBack2 / reduceBack / scanBack

fold系の派生関数群ですね。

iteri2 / mapi2

インデックスを伴ったiter2map2です。 今回、map3は追加されますが、Listにもともとmapi3がなかったためか、mapi3は追加されないようです。

permute

インデックスの変換関数を元に要素を置換したコレクションを返します。

val Seq.permute: (int -> int) -> 'a seq -> 'a seq

rev

シーケンスを逆順にしたシーケンスを返す関数です。

sortWith

比較関数を指定してコレクションをソートする関数です。

val Seq.sortWith: ('a -> 'a -> int) -> 'a seq -> 'a seq

ListSeqにあった関数のArrayへの追加

head

コレクションの先頭要素を返す関数です。

今までなかった関数のListArrayへの追加

splitAt

指定されたインデックスでコレクションを分割します。

val List.splitAt: int -> 'a list -> 'a list * 'a list
val Array.splitAt: int -> 'a [] -> 'a [] * 'a []

今までなかった関数のListArraySeqへの追加

contains

今まで、

xs |> List.exists ((=)x)

などとしていましたが、今後はcontainsが使えます。

findBack / findIndexBack / tryFindBack / tryFindIndexBack

find系の関数に、後ろから探すものが追加されました。

tryHead / tryLast

失敗するかもしれない関数にoptionを返すバージョンが追加されました。 tryTailが無いのは・・・?

indexed

コレクションの要素にインデックスを付けたコレクションにして返す関数です。

val List.indexed: 'a list -> (int * 'a) list
val Array.indexed: 'a [] -> (int * 'a) []
val Seq.indexed: 'a seq -> (int * 'a) seq

item / tryItem

今まで、n番目の要素を取り出す関数としてnthがありました。 しかし、これはArrayにはなく、またListSeqで引数の順番が違うというとてもアレな関数でした。

val List.nth: 'a list -> int -> 'a
val Seq.nth: int -> 'a seq -> 'a

F#4.0では、nthは非推奨となり、引数の順番が統一されたitemが提供されます。

val List.item: int -> 'a list -> 'a
val Array.item: int -> 'a [] -> 'a
val Seq.item: int -> 'a seq -> 'a

optionを返すバージョンであるtryItemも追加されました。

val List.tryItem: int -> 'a list -> 'a option
val Array.tryItem: int -> 'a [] -> 'a option
val Seq.tryItem: int -> 'a seq -> 'a option

これは朗報ですね!

mapFold / mapFoldBack

foldは種の型が戻り値の型になりましたが、mapFoldは第一引数として渡す関数の結果として次の種だけではなく追加の値も返せるようにしたことで、 mapfoldの処理を同時に行えるようになりました。 結果として返されるタプルの一つ目にmapの結果が、二つ目にfoldの結果が入ってきます。

val List.mapFold: ('b -> 'a -> 'c * 'b) -> 'b -> 'a list -> 'c list * 'b
val Array.mapFold: ('b -> 'a -> 'c * 'b) -> 'b -> 'a [] -> 'c [] * 'b
val Seq.mapFold: ('b -> 'a -> 'c * 'b) -> 'b -> 'a seq -> 'c seq * 'b

mapFoldBackfoldBackmapを同時にするバージョンです。

sortByDescending / sortDescending

逆順のソートをする関数です。 これないのつらかったんですが、ようやく入ってくれました。

VS Pro相当が無償化されたことだし、F#をやろう!

Pro相当のVisual Studioが無償になった!

とのことらしいですよ! F#*1も入っており、拡張機能も使えるようです。 ということは、素敵拡張機能であるVFPTが使えるということですよ!

もし今回のことでF#を始めるという方は、是非VFPTを導入した環境でF#を触ることをお勧めします。

そして、ついでにF# Advent Calendar 2014に参加してみるというのもいいでしょう。

みんなでF#やりましょう!

F#!F#!

追記: オープンソース開発してVisual Studio Community 2013を使おう! Visual Studio Community 2013 - Visual Studio

*1:Fortranではない

函数型なんたらの集い 2014 in Tokyo

函数型なんたらの集い 2014 in Tokyoに参加してきました。

発表資料はこちら。

内容は、Excel方眼紙を倒すためにDSLで頑張ったというものです。 この中で紹介しているTableDslは、いろいろと発展を考えているので「アレ使えばいいじゃない」は通じないのです。 あとそのアレ、Excel方眼紙吐けないじゃないですかー。

コメントで「いじられたくないならPDFにしてしまえばいいじゃない」というのがありましたが、Excelで提出することが決まっているのにそういうことできないですからね・・・

12月6日のNGK2014B 昼の部で、DSLとは違ったExcelの話をするので興味のある人はどうぞ。

F# Meetup in Tokyo

今更シリーズその2。8月3日に、F# Meetup in Tokyoに参加してきました。

発表資料はこちら。

内容は、業務でF#を使った事例の紹介です。

F#オンリーのイベントにたくさんの人が参加してくれて、またいろいろな話が聞けてよかったです。 名前出していいかわからないから伏せますけど、LangExtを使っているという声も聞けました。 あんな変態ライブラリ、自分ら以外使わんやろー、と思っていたけど、実際に使われているとわかるとうれしいものですね。

またああいうイベント、やりたい!

クラウド温泉4.0@小樽 - The Return of F#

今更シリーズその1。 7月の25から28日に、 クラウド温泉4.0@小樽 - The Return of F#に参加するために北海道に行ってきました。

発表資料はこちら。

内容はコンピュテーション式のyieldとreturnについての話で、

あたりの流れの一つのまとめになっています。 上であげた、「コンピュテーション式におけるreturnとyield」では状態引数による実装のみを紹介していましたが、 今回の発表資料の中では、

  • 例外による実装
  • 状態変数による実装
  • 状態引数による実装
  • 継続による実装

と、多数の実装方法を紹介しています。

また、FSharpxやExtCoreといったF#の有名ライブラリが、コンピュテーション式を正しく実装できていない点(yieldやreturn以前の問題)も明らかにしました。 詳しくは追っていませんが、実は標準のAsyncコンピュテーション式がそもそもダメという話も・・・ そもそも、コンピュテーション式を展開して考えている実装者はおそらく皆無であり、 ネット上にある間違った情報をもとにコンピュテーション式を実装している場合が多いように思います。 モナドモナドプラス以上の表現力のものを実装する場合は、せめてコンピュテーション式の展開規則を理解したうえで実装しましょう。

沖縄に行ってきました!

社員旅行で沖縄に行ってきたので、その報告です。

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http://f.st-hatena.com/images/fotolife/b/bleis-tift/20140924/20140924093102_original.jpg

お分かりいただけただろうか?

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> Javaプログラミング講座 <
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報告は以上です。